「母上に生地を探して、買ってきてほしいんです」
「そんな大役をもらってしまっていいの? まあ、まあ! 張り切っていい生地を見つけてくるわ! ミクルさんも任せてくれて、どうもありがとう!」
「そんな……こちらこそ、よろしくお願いします」
前・魔王様はデザイン画を見直した。
さっきまでは大して興味もなさそうに簡単に見ていただけだったのに、今は目を見開いて真剣そのもの。
正直なところ、こんなお使いみたいなこと、前・魔王様にお願いしていいのかな……って不安だった。
けれど、いいどころじゃなかったみたい。こんなに喜んでもらえるなんて。
「あの人、布問屋にツテとかあるかしら……とりあえず聞いてみることにして……」
前・魔王様は、魔王様ににっこり笑顔を向けた。