「じゃあ、ミクル。レオは僕が思春期だった頃に作った使い魔で、口が悪いんだ。気にしなくていいからね」

「おおい、少しは気にしてくれよ。魔王様だって思春期の頃は悪態つきながら、気にしてほしかったんだろ?」


魔王様はレオさんを『はいはい』とあしらった。


「ところでミクル、ここが僕の部屋」

「これが部屋?」


いくつも部屋がありそうだし、階段も見える。


「この別棟がまるまる僕の部屋っていうか生活空間ね」

「はあ、さすが魔王様」


魔王様が何者なのか知らない。


だけどこの人が魔王様ってことは今ではすっかり信じていた。


「レオ、ミクルの足を洗って手当てしてあげて。そのあとでもう一度、僕のところに案内してほしいんだ」

「へーい、かしこまりましたよー」


そうして、私はこのときようやく魔王様から手を離した。