魔王様は、さすがにこのときまでには覚醒していた。


魔王様は、私が最終的に選んだ礼服のデザイン画を取り出した。


「これは?」

「僕の誕生祝いの式典に、僕とミクルが着る予定の礼服です」

「……ずいぶんとシンプルなのね。今の若い人ってこういうのが好きなの? それにしたってお祝い事なのに……」


前・魔王様は怪訝そうな顔でデザイン画を見た。


そうなのだ。これは数あるデザイン画の中でも、ひときわ地味だった。


だけど……


「これを、光沢のある明るい青色の生地で仕立てよう、と僕らは計画しています」


それを聞いた途端、前・魔王様の目がピッカーン! と確かに輝いた。


「まあ、まあ、まあ! ステキじゃないの! 貴方にしてはいいアイデア……いいえ、違うわね。ミクルさんなんでしょう? いいわ、とってもいいと思う!」