レオさんが天井を見上げた。
「でも、今は何て言うのかなー。こう、式典にふたりで出席するって決めたのもそうだけど、当たり前のようにお互いを思い遣ってるって感じがするんだよね」
そ、それはそう……かも……?
魔界に来た当初は自分のことでいっぱいいっぱいだった。
ここでの生活に順応するのに必死で、魔王様のことまで心配しているような余裕はなかった。
それが、魔王様のために(と言っても、自分も一緒に食べるんだけど)、毎日夕食後のデザートを作ったり、果ては式典出席を決めたりと、行動まで起こしている……
でも、それって、魔王様やリナさん、それとレオさんが私を気にかけてくれたからこそ、生まれた余裕でできるようになったんだよね。
「ミクル様のお陰で、魔王様の表情はすっかり明るくなったっしょ。だから大丈夫だと思ってんの、俺。それより、掃除、掃除」
レオさんはご機嫌でモップを動かした。
私、メンタル面で魔王様の力になれてる?
もしそうなら、うれしいなーと思った。