虚をつかれて、間の抜けた声が出てしまった。
星空を見上げて、魔王様がひとり言みたいにポツリと言った。
「出席しようか、ふたりで……」
「やったー!」
ハシャぐ私を、魔王様が優しく抱き寄せた。
「ひゃっ!」
「言っておくけど、式典に出席するんなら、僕と仲睦まじくしてないとダメだからね?」
「ぜ、ぜ、ぜ、ぜ、善処します!」
玄関でのハグよりも力は入っていないのに、こっちのほうがドキドキする気がした。
私はおどおどしながらも、魔王様の背中に腕を回してみた。
「わっ、うれしいな。これからは公式行事という公式行事のたびにミクルを連れまわそうかなー」
私は相変わらず花の鑑賞なんてできないままだった(たぶん魔王様も)。
デートが終わる時間まで、魔王様の体温だけを感じていた。