「もしかして強くは言えないんですか?」

「うっ……」

「私が、例えば魔族のいいところのお嬢様とかだったなら、魔王様をここまで悩ませなくて済んだんですか?」

「それは絶対にない。結局は別の形で難癖をつけられてたよ」


別の形で難癖……


「とりあえず今は、私のことでどんな難癖をつけられてるんですか?」


魔族のイチャモンなんて、私にどうにかできるはずもないのは重々わかっていた。


それでも知っておきたかった。


私に関することで、魔王様を困らせていること……


「あー……うん……それねー」

「ほら、観念して言っちゃってください!」


花を照らしている灯りがゆらめいた。


花見に来ているはずなのに……


私も魔王さまも一応は花を視界には入れつつも、これっぽっちも注意を払っていなかった。


「ほらほら。すっきりして、お花を鑑賞しましょうよ」