「……魔王様? 私のせいで魔王様のお母さんに迷惑がかかってるんですか?」

「それは違うよ、僕のせい……全部僕が悪いから! あー、説明したいけど、今は時間がないな。いい加減、城に戻らないと……」


魔王様が舌打ちをしたから、私はびっくりしてしまった。


もしもこれがレオさんなら、ここまで驚かなかったと思うけれど。


こんなにイラついている魔王様を見るのは初めてだった。


謁見の間で不機嫌そうにしていた初対面のときでさえも、ここまでではなかった。


「心配させてごめん。とにかく帰ったら全部話すから」


それだけ言うと、魔王様もドロンと消えてしまった。


客間に取り残されたような気分になった。


「あの……」


所在なくて、私はリナさんとレオさんに顔を向けた。