それに対して、横から見上げた魔王様の顔は、苦虫を噛み潰したような……
「それについては、申し訳ありません。僕のほうがいい返事をしないから、母上のところにも行ってるんですね」
「そういうことなんでしょうね。ここで問題なのは、貴方が家臣からナメられてるってことなんだと思うわよ? どうせ母親には勝てないだろうって」
「うう……耳が痛いです」
「ミクルさんを選んだのなら、恐怖政治でも何でもやればいいじゃないの」
「母上は簡単に言いますけど!」
そこで前・魔王様は、『ふっ』と不敵に微笑んだ。
「私だって必要がなければ、あんなことしなかったわ。でもね、女魔王でありながら、結婚もせず、父親の正体も明かさずに出産するには、それなりの覚悟をしなければならなかった。そういうものよ」
魔王様のお母さんは、覚悟を持って魔王様を産んだってこと?