またそのワードが出た。『危険』って……


『危険』って何がどう危険?


周囲を見回しても、誰も見当たらなかった。


それに何を聞かれたらマズいっていうんだろう?


たいした話はしていない。


それでも炎で照らされた魔王様の目は真剣そのもので、これ以上は口を開けなくなってしまった。


魔王様が歩き始めたのに合わせて、私も足を前に動かした。


無言で歩いていると、頭の中が整理されてくる。


ああ、そうだ。


さっきから、ハロウィンの仮装とか演劇とかっていうレベルじゃない。


魔王様の魔法はタネも仕掛けもない本物の魔法みたいで、魔王様も人外の存在みたいだし、さらにここはファンタジーの世界みたい。


私はそう言いたかったんだ。