「あっれー? お久しぶりっすねー」
「レオはそのしゃべりといい、相変わらずね」
魔王様……のお母さん……?
「前・魔王様、」
「ああ、リナ。この前、問い合わせのあった件はあれでよかったかしら?」
「はい! お陰様で、ミクル様のお部屋が整いました」
やっぱりだ! この人、魔王様のお母さんなんだ。
ん!? なら、私にとっては世に言う“姑”ってやつでは?
ど、どうしよう……?
とりあえずきちんと挨拶?
私は真っ直ぐに立って、サロペットのシワを伸ばした。
「横着していきなり転移魔法とかしてこないで、事前連絡を入れてから来てくださいよー。そうしたら、こっちだって準備しておくのに」
「いいわよ。準備なんて」
「そうは言われましても、茶くらいは出しますんで」
ぶつぶつ文句を言いながら、レオさんは掃除道具を片付け始めた。