数歩歩いただけで、すぐに体感した。
「わお、すごく歩きやすいです」
裸足のまま石床を歩いている感じはする。
それなのに感触が優しいのだ。
それと、足元が見えるのは大きい!
「それは何より」
魔王様が自慢げににいっと笑った。
あっ、歯が……
上下4本の犬歯が、歯じゃなくて牙みたい。
「じゃあ、ここから先は黙って歩ける?」
「で、でも、聞きたいことがいっぱいあって!」
「それは全部、僕の部屋に着いてからで」
「でも『防御魔法』だ、『火炎魔法』だって、なんだかその……」
続きは何て言えばいい?
私は今はっきり言って混乱している。
「ここは誰に聞かれているかわからないから危険なんだ」