これが夕食後に過ごす『魔王様とふたりだけの時間』ってやつだ。これも魔王様が日課にしてくれている。


ぎこちなくならないように細心の注意を払って、私は魔王様から差し出された手を取った。


転移先の足場が悪かったのは初回だけ。


だから、お姫様抱っこをされたのもあの1回のみで、以降は両手ともつないだらすぐさま転移してくれる。


それとデートの最中も、宣言通り、焦ることなくすこぶる紳士的な対応だ。


ハグもしてこない。魔王様がデートでハグをしたのも、初回のみだった。初回特典? ……って、あわわ! それだと魔王様のハグがいいことみたいじゃないの!


しかし、デートで紳士的対応する代わりなのか、魔王様は初デートの翌日から、デートではない場面で私をハグするようになった。


朝出勤するときと夕方帰宅したときの1日2回。それも、絶対に欠かすことなく。


そのときにも、やっぱり病による動悸が起こってしまう。