「レオさんは、『悪寒がする』って震えてましたよ。それと、天井のことは『天使とか飛んでそう』とも言ってました」

「あー、天使はいそうな空だねー」


魔王様はのんびりとした口調でそう言った。


「苦手、ではないんですね?」


魔王様からは、そんな雰囲気は少しも感じられない。


魔王様は部屋を見渡して、肩をすくめた。


「……ミクルの期待に沿えなくてごめーん。だけど、別に平気みたい」

「えーっ、どうして? それって、思春期の頃はダメだったけど、大人になったら平気になったってことですか?」

「たぶん違うと思うなー。何て説明したらいいんだろ……? レオは僕の魔力でできてるから、そういう部分がより強いっていうか……わかる?」

「ぜーんぜんわかりません。魔王様のお母さんだって、人間界ブームが終わったらすぐに壁紙を戻すのに? 魔王様だけが特例?」

「うん、そうなのかも。どうやら僕のほうが母さんよりも耐性があるみたいだねー」