「どうですか? この部屋だけ魔界じゃないみたいに感じませんか?」
「ホント……ここは別空間だね……」
「でしょ、でしょ? ……あっ、でも魔王様のお母さんは、人間界ブームのときはそれ風に模様替えするんでしたっけ?」
リナさんから聞いた話を思い出して、少しガッカリした。
魔王様には実は既視感があるかも……
「それは魔王をやめて、ここを出ていってからの話ね。あの人は、城とここにいる間は常に魔王だったよ。流行りに乗っかって模様替えなんか、1度たりともしたことはなかったなー」
「じゃあ、魔王様がこういうインテリアを見るのは初めて?」
「誓って初めて! だから新鮮だなー」
やった! さっきの魔王様の驚きは正真正銘、本物だったんだ。むふふ!
「レオさんは苦手みたいだったけど、魔王様は?」
「『苦手』? レオがそう言ってた? どうしてだろ……」
そんな意外そうな顔をされるなんて思っていなかった。