「わたしは、わたしは彼女を愛してしまったんだ。だから、いっしょに連れて帰る。連れて帰り、しあわせにする。彼女にとって、その方がここいいるよりどれだけいいことか……」

 ジョフロワに拘束されつつ、彼を見上げた。

 こちらを見おろした彼と目と目が合った。

「わたしは、彼女を、アイを愛している。愛しているんだ」
「な、なんですって? 愛しているって、わたしを? わたしを愛しているですって?」

 心の底から驚いた。いまの驚きは、ここ最近の様々な驚きの中で一番の驚きだった。