「最初はそうだった。彼女を利用し、貴様の情報を得たり、うまくいきそうなら貴様を殺させようとした」

 わたしが自分自身のこれからについて考え始めた瞬間、わたしを拘束しているジョフロワが言い始めた。

「が、彼女と接している内に気がかわった。それこそ、任務や立場、ましてや国などどうでもいい。それよりも、わたし自身の想いを遂げたい。たとえこの身分を剥奪されようと国を追放されようと、自分自身の望みを、いや、切なる願いをかなえたいと思い始めた」

 静かすぎる森の中、ジョフロワの言葉だけが流れていく。