「アイ」

 ジョフロワは、体ごとこちらに向いた。

「一刻もはやく国境を越え、アムラン王国に行かなければならない。疲れているだろうが、しばらくガマンして欲しい。国境を越えれば、食事をしてゆっくり休むことが出来るから」
「国境を越える? ああ、そうでした。流行り病で苦しむ人たちに一刻もはやく癒しの力を使わなければ……」
「流行り病、か?」

 わたしにかぶせ、エルキュールがふきだした。彼は、不謹慎にもクツクツと笑い続けている。