そして、そんなお嬢様らしからぬお嬢様である、我が家の寿々花さんに。

かつてないピンチ(…?)が訪れようとしていた。



と、言うのも。

ある日の放課後、夕飯の買い出しを終えて自宅に戻ったところ。

「ただい…。…うわっ!?」

「…」

玄関の扉を開けて、びっくりして足が止まった。

またしても。

またしても寿々花お嬢さんが、玄関に蹲っていた。

どよーん、という効果音が聞こえてくるかのような落ち込みっぷり。

「ど…どうしたよ?」

びっくりするからさ。玄関先で落ち込むのやめてくれないだろうか。

落ち込むなら、そう…ちゃんとリビングで落ち込んでくれよ。

話くらい聞いてやるから。