「良いの?本当に良いの?」

「良いよ。今回は、寿々花さんの努力を評価する」

「…」

沈みきった表情が、パッと明るくなった。

よし、それで良い。

落ち込むのは分かったけど、玄関にしゃがむのはやめような。

制服が汚れるから。

「…それで?俺に聞いて欲しいお願い事っていうのは、何なんだ?」

ずっとその為に頑張ってたんだろ?

そうまでして、俺に何をして欲しかったのか…。

…今更だけど、面倒なお願いじゃないよな?

面倒なお願い…くらいなら、まだ良い。

実現可能なお願い事であってくれよ。

「毎日朝まで一緒におままごとして」とかだったら、俺は寝不足で死んでしまう。

さすがに、そんなお願い事じゃないと思いたいが…。

「あのね、えーっと…」

「…」

「えーとね、うーん…」

…もじもじ。

「…本当に良い?本当に何でも聞いてくれる?」

「何でも聞くよ…って言いたいところだが、さすがに限度はあるぞ。実現可能なお願い事だったら聞くよ」

「そ、そっか…。じゃあ無理かな…」

…。

…もしかして、実現不可能なお願い事だったのか?

「…まぁ、何にせよ言うだけ言ってみろよ」

約束したんだからな。

もし実現不可能だとしても、努力くらいならしてみるよ。

寿々花さんだって頑張ったんだから、俺も頑張らないと。示しがつかないだろう?

言うだけならタダだよ。

遠慮しないで、まずは言うだけ言ってみてくれ。

すると。

「そ、それじゃ…言うね」

「どうぞ」

「…その…。…ん、じょうび…」

ん?

「よく聞こえなかったんだが。今何て言った?」

「え、えっと…その、誕生日…」

…誕生日?

「誕生日の…お祝いをして欲しいの」

恥ずかしそうに、もじもじと。

何を頼んでくるかと思ったら、そんなことだった。

これには、俺は思わず目が点になった。