シルヴィーヌはクレアからあたしに向けて視線を移した。


目を逸らすのに必死だよ;;


「そういえば、あなたゼル様の花嫁候補ですってね。こんなところに来て、寂しくありませんの?」




確かに。
あたしはいきなり連れて来られて、花嫁候補だなんて言われたんだもん。たまに家族のことを夢でも見る。だけどあたしはもうそれでもいいと思ってる。

ゼルの優しさにはもう気付いてるし、寂しくないから。



「大丈夫です。あたしはここにいる必要があるから」


堂々とあたしは言うと、シルヴィーヌは小さく溜め息をついて、「仕方ないわね」と呟く。