「だって、姉君を陥《おとしい》れる方法など他に沢山あるだろう?それでも、君は優しい方法をとった」

「しかし・・・!」


「もし君を悪人だという者がいるのなら、私が君の代わりに怒ろう」


ポロポロと涙が溢れるのが、自分で分かった。

駄目なのに。

お父様にはカイン様との婚約を断るよう、命じられている。

それでも、きっとこの人なら私の醜い部分も受け入れてくれるような気がした。