「それは・・・」

「私は伯爵家次男だ。リアーナ嬢に釣り合わないことは分かっている。・・・ねぇ、リアーナ嬢。この本を覚えているか?」

カイン様が私に差し出した本に見覚えはない。

「この本は私の宝物でね。しかし、ある日不注意で破れてしまったんだ。そこにリアーナ嬢が通りかかって、能力を使って直してくれた」

ああ、そうだわ。

あの時の私は、ロイド様と結ばれるために自身の評判を上げたかった。

「無能の聖女」ではなく、「慈悲深い聖女」と呼ばれるために必死だった。