「今回の婚約を受け入れるつもりはない。リアーナ、暫く様子を見て、時が来たら上手く断りなさい」


「えっと・・・」


「今回の婚約の申し込みは、エイヴィン伯爵家の次男からだ。長男でもない伯爵家の次男など、我がフィオール公爵に釣り合わない」

「分かりましたわ・・・」

上手く言葉が出てこない。

知らない貴族と婚約しなくて良い安堵と、お父様の冷たい考え。

相反《あいはん》する感情に、身体が凍りつきそうだった。