「名前,桃花って。普段はとーかちゃんでいいです。だって,特別みたいでうれし んっ……っ」



はぁっと。

真ん中で漏れた息が広がった。



「しないって!」

「言ってないよ。……桃花。それくらいならいくらでもする,一杯呼ぶ。桃花の頭も耳も全部それで埋め尽くされるくらい」

「そっそんなにはいいですっ!!」



困りますっと。

私は力一杯に叫んで,響くんから離れた。

響くん。

ひびき。

響。



「響」



口にして,自分で呼んだくせに真っ赤に染まる。

ばかみたいと頬を挟むと,あつあつほかほかで。

冬の肉まんみたいって,また恥ずかしくなった。

不思議そうな響くんを,上目で見ながらおずおずと口にする。

勇気だして,私。