「約束,忘れてるでしょとーかちゃん。"用事"の後は,俺に時間くれるんじゃないの?」

「っあ。ごめんなさいっ,そんなに……もしかして,大事な話だったりし,ましたか……?」



直ぐに話が終わるわけもないのに,待ってて欲しいみたいな事言って。

なのに,しかも今も忘れてた。




「大事,は大事かもね。とーかちゃん相手ならいつもだけど」

「?」

「好きだよ,とーかちゃん。いつか絶対,私もって笑ってくれるくらい落としてみせるから」

ーだから今は,ここにいて。



響くんの腕の中,私は色んな衝撃と混乱に襲われる。

好きも,本命も,彼女も。

本気? なの?

でもやっぱり違和感は拭えなくて。

そっか,響くん。

私が2人に打ち明けたとき,いなかった。

でも,こんな時にもこうして抱き締めてくるのを見ると……

少しだけ,私の好意は伝わってしまっていて。

それでいて響くん自身の自信もあって。

やっぱり,ずるい,なぁ……