「もしかして俺の彼女,辞めようとしてる? 逃がしてあげるなんて俺,一言も言ってないよ?」

「ぇ,だって,もう2人のやな噂流したりとか……しないんですよね?」

「うん,そんなこと言わないよ」



なのに,全部終わってしまったのに



「え……私のことも,もういらないんじゃ」

「いる。めっちゃいる。っていうか最初からあの2人もどうでもいい。笑ってるとーかちゃんが俺だけのなら,なんでもいい」



響くんが両手で私の顔を挟んで覗き込む。



「俺だけ見てて,ずっと」



逃げ場なく真ん前に響くんの顔。

突然の言葉に,私はドキンと胸を鳴らした。



「楽しかったんでしょ? それとも嘘なの,とーかちゃん」

「嘘じゃ,ないです」

「他にすきな人もいないなら,いいじゃん付き合ったままでも」



すきな人……

私……響くんが,好き。

なんだけど,な……

もやもやとひろがる。

でも,だって,どうしよう。