求められて嬉しかった。

触れられると,佐久間くんとも違う知らないどきどきを感じた。

とーかちゃんって呼ばれるのも,気付いたら嫌なんかじゃなくて。

すごく,すごく嬉しかった。

もっともっと呼んで欲しくて。

響くんがくれる温もりを,心を。

何倍にもして返したくなるくらい,響くんを知ってしまったら。

最後には,とうとうすきになってしまった。



「響くん,ありがとうございまし」

「あのさ……とーかちゃん?」



もう響くんのことを響と呼ぶこともない。

来年はきっとクラスだって分かれて,元々友達でもなんでもない私はもう響くんにとって知らない人。

響くんの周りにはまた新しく女の子が集まって,私の考え方なんて影響しなくなった響くんはそれを受け入れるんだろう。

私は同じ様にアプローチ,出来るのかな……

また,たった1人の彼女にして貰えるくらい。

そんな想像をしながら,最後のお礼を伝えようとして。

響くんがそれを遮った。