言ってくれなきゃ伝わらない。

分からないよ。

じっと,目が深くあった瞬間。

投げやりに,全部投げ棄てるように。

佐久間くんは吐き捨てた。



「順番とかなんとか言っといて,自分だってそうじゃん。俺と分かれる前に,桃花だって有馬とデキてんじゃん。
ほんとは! 俺がキスしようとしたのも気付いてて,誕生日の予定だって嘘だったんだろ?!?」

「煌芽!!!!」



優菜が痛みを増やすように叫ぶ。

私は佐久間くんの言葉に,キーンと耳鳴りがして。

ガンガンする頭で必死に考えた。



「しかも相手もあの有馬で。あの様子じゃ,キスくらいとっくに済んでんじゃないの?」



嘲るような言葉,そのくせ佐久間くんは私の目をみない。

佐久間くんは全部,私の誤魔化しと嘘に気付いている。

好きな人がいる,たったその情報だけでそこまで振り返ってしまった。

私は,佐久間くんのキスを拒んで……響くんにキスされた日を思い出す。

いつ,だれに,なにを,どんな状況で。

必死に時系列を並び替えて,過去に,今に正しさを探す。

佐久間くん,こんなこと……言う人だったっけ。

だけど……そうなのかな,本当に。

そう見えることをしていたのかな,私は。

佐久間くんが言うように,佐久間くんと"同じ"で。

初めに感じていたように,"悪いこと"をしていたのかな。