「だったら! だったらなんで,なんで急にあいつがとーかちゃんなんて馴れ馴れしく出張ってきて,もうお前のじゃないなんて挑発してくるんだよ,おかしいだろ」



え……?

私はまさかの告発に,身体を揺らす。

あんなに言うなって,なんだかんだ言ってきたのに。

いつ? なんで?

私は手の甲を左手で擦って,佐久間くんがなんで突然あんな態度で入ってくるのを躊躇っていたのか,初めて理解した。



「そう」



小さな呟きを,2人とも器用に拾い上げて。

優菜はとても自然な驚きに満ちた表情をしているのに比べて,佐久間くんはとても鋭い表情を浮かべている。



「そうだよ,私がすきになった人。響くん,なの」



優菜がおずおずと私の前に出て,私を見た。

そして



「ほんとだ」



なんて不思議なことを言う。



「でもあいつなんて悪い噂ばっかで,桃花が想像できないようなことだって平気で何度も色んなやつと」

「ちょっと! 煌芽は知らないかもしれないけど,でも響,今はもう結構前から皆切っちゃって,本命とか言ってて! それが桃花の可能性だって……」

「~っそんなのどうだっていいよ!!!」



優菜が必死に私の心を庇うけど。

なんで,私には想像できないなんて決めつけるんだろう。

なんで,響くんを悪く言って……好きだって言ってるのに,他の女の子の話をするんだろう。

……佐久間くん?

今,何を考えてるの?