「今煌芽が,いいよ付き合おうって言っても,なんか違う気がする。今まで抽選待ちみたいにキープされてたってのも,ひっかかるけど,そうじゃなくて」



本当に全部聞いて,自分の頭で整理したんだって分かる。

私達の前に出てくる,あんなにも緊張して少ない時間の中で。

優菜は私のために,これからのために,沢山考えたんだって分かった。



「きっと,付き合えたら嬉しい。手を繋げたら恥ずかしくて,これは言いにくいけどキスをしたら舞い上がる。でも」



優菜ははっきりと顔を上げて,私だけじゃなく佐久間くんにも視線を向ける。

強い言葉が,優菜の決意を感じさせた。



「続かないと思う。どうせ直ぐに別れちゃう。なら,だったら。もう煌芽を好きなのも追いかけるのも,やめる。間違いだって頭が言ってることで,同じ轍は踏みたくない」



困ったような泣き笑いが,つきんと胸に痛んだ。