怒ってるんじゃないよ。

今は,責めてるんじゃないよ。

そう言う気持ちもあるけれど。

じゃあ,悲しいのかな,寂しいのかな。

分からない。

でも,聞かなきゃって,ずっとそう心が叫んでる。

このままじゃ,嫌だ。



「ごめん,好きだ───」



それを聞いて,あぁ,と思った。

いつかの恋心が,ぷっくりと瞳を飛び出して,ポロ……と真下に落ちていく。

聞いても分からないことがあるんだって,ようやく分かった。

変な話だと思うけど。

どうにか受け入れたかった心が,受け入れられないことを理解した。



「ごめん,桃花。2人とも,2人とも好きなんだ。こんなの,最低だって,心決めなきゃって。でも……っ。やっぱり,俺が好きなのは桃花で,だからっ……っ別れたく,ない」