「美月、来たの!」
「うん」
学校に着いたのは二時間目が終わるころだった。
教室に入った瞬間、幻覚でも見たかのような目で先生もクラスメイトも美月を見た。
ぽっかんと空いた口からは「あの美月が遅刻だと」と聞こえてくる気がする。
それからは特に変わったこともなく時間が過ぎた。
昼休みになり、真っ先に美月の所に来たのは幼馴染みの西野蘭と武藤愛 だった。
「しかしどうしたのよ」
「駅を乗り過ごした」
二人とも美月の答えに納得していないように顔を見合わせて首を傾げている。
「駅を乗り過ごしても間に合うよね、それでこの遅刻?」
「あぁ、四駅乗り過ごした後、そこら辺ゆっくりと散歩してきたから」
信じられないとでも言いたげに蘭が美月の肩を掴み、大きく揺らした。