東京ー!東京ー。


 ここまでどう着たのかは覚えていない。降りるはずの東京駅を乗り過ごし、戻ってきた頃にはとっくに学校は始まっており、大遅刻をしていた。


 ――会いたかった。美空。


 あの言葉が耳に残っている。大好きで憧れだった双子の姉の名前。美月と美空は一卵性の双子だ。きっと見間違えたのだろう。


 よりにもよって亡くなった姉と残された妹を。


 雨は先程よりも強さが増している気がする。まるで美月の心を表しているようだ。


 傘を開き、歩き出す。本当にゆっくりと歩く。どうせもう遅刻しているのだ。いくら遅れようと変わらない。


 今はただ一人になりたかった。