晴れの日のあの場所は何処か違う場所のように感じた。


 夏らしい草木の匂いが鼻につく。あの日の記憶を思い返してひまわり畑を目指した。


 ひまわり畑にはあの場所とは思えないほどの人でいっぱいだった。


 今日は気持ちがいいほど雲ひとつない晴天。多くの人がひまわりを見に来たみたいだ。


 すぐ近くにあるベンチに座る。そこからひまわり畑を隅々まで見渡した。


 しばらくすると、パラパラと雨が降り出した。さっきまでの騒ぎは何だったのか。一瞬にして人が消えた。


 雨がより強くなる。


 傘は持ってなく、ただ濡れるしかない。屋根を目指して歩こうといたとき、美月の頭上に傘がさされた。


「風邪引くよ」
「…………っ、」


 聞き覚えのある優しい声だった。声のする方を振り返るのが怖くて固まってしまう。