いつもどおりの満員電車。いつもどおりの通学路。いつもどおりの日々だ。
特に変わらない一日を過ごし、明日からの夏休みに備えて入念に持ち物をチェックする。そして荷物を持って教室を出た。
「美月、気をつけてね」
「うん。蘭も頑張って」
それだけを伝えて去ろうとしたとき、蘭から「ちょっとまって」と止められた。
「せっかく出し、どこか行ってきたら」
「どこか?」
「そう、例えば一学期の思い出の場所とか」
蘭はそう伝えると何事もなかったかのように去っていった。
校舎を出て駅へと向かう。でも、いつも乗る電車には乗らなかった。その足は自然とあの、ひまわり畑に向かっていた。