声には出さずに頷いた。少しの沈黙が落ちる。それを愛のため息が破った。


「朝陽、お前どっちが好きなんだ。美月と美空」
「美月だよ」


 初めてあったとき、やけに見つめてくる人に気が付き、思わず目で追った。その時、頑張ろうとしてもから回っている姿がとても愛らしかった。

 美空かも、と疑問を持ったのは助けたあとだった。

 
 ――俺は美月に恋をした。


「一目惚れをしたのも、愛しいと思ったのも美月だ」
「……」


 愛の目を見てそういった。未だ悩んでいる愛は少し目を下げるとまた朝陽と目を合わせた。


「良かったな。運が良くて」


 たったそれだけを言われた。


「蘭、帰ろう」
「うん」


 二人の姿が見えなくなるまでま朝陽は動けずに美しい月を見ていた。