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 バタンッ、といってしまった扉をじっと眺めた。


 家に入っていく美空からはあのときに感じた光のなかに消えてしまいそうな儚い雰囲気をまとっていた。


 ここから離れるのが怖くて、ただ動けずに止まっていた。



「おい」



 そんなところに聞きなれた声が届いた。


 声の方を振り返ると直接会うのは一年ぶりとなる愛と、今にも泣き出しそうに小刻みに震える女性が目に入った。


 
「朝陽、お前ここで何してる」
「何って」


 何も状況が掴めずに、言葉が詰まる。


 そんな朝陽を見て愛は近づいて来て、胸ぐらを掴んだ。


「これ以上美月を傷つけるな!」
「愛!やめなよ」


 美月。この名前に心当たりはなかった。でも、何故かすっと耳に入ってきた。


「美月……」
「美空はどこで知った。いつから美月をそう呼んでいる」