朝陽の隣で空を見上げながら歩く。なんとか心を落ちつかけようと必死だった。


 まさか朝陽とあんなにたくさん口づけをするとは思わなかった。


 触れられたところが未だ火照って温かい。唇に触れると先程のことを思い出してしまう。


『美空』


 ――どうしよう。


 真っ赤に染まってしまった自分の頬を包み込み美月は困り果てた。




 月の浮かぶ夜空の中、見慣れた街を朝陽と手をつなぎ歩く。それだけで心が踊った。


「久しぶりに来たな」
「いつぶりぐらいなの?」


 少し考えるように朝陽は首をかしげた。


「いつだろう、一年ぶりかな」
「以外と最近だね」


 お互いに顔は見ないで、ただ前を見て喋っていた。どうしても気恥ずかしさが残っていて今は顔を見れる自信はなかった。
 

「今でも連絡を取っているやつがいるんだ。そいつに会いに行ったのが最後かな」