美月が眉をひそめると朝陽はようやく唇を離した。美月と額に重なると乱れた呼吸を整えた。
「ごめん」
「……」
呼吸を直しながら美月は首を振った。
頭がとろけるたように何も考えることができない。
力なく、朝陽の胸に顔を埋め、火照った顔を冷やした。
「美空」
ビクリと肩が跳ねてしまった。そんな美月を心配するように尋ねられた。
「…大丈夫?」
「うん、大丈夫」
明るかった空はもう薄暗く、空には月が見える。
「怖かった?」
「……」
予想外の質問に口が動かなかった。なぜそのようなことを聞くのかわからなかった。
「怖くないよ。とっても嬉しかった」
その上でまた懇願した。
「どうか甘いキスをして、朝陽くん」
少し我慢するように眉間にしわをよせた朝陽は美月の頬に手を添えた。
「わかった」
「……っ、」
美しい月明かりに照らされる中、また柔らかい口づけが落とされた。