朝陽の触れ方は優しくて美月を甘やかすようだった。


 キスが長くなるほど左胸が痛くなり、泣きたくなる暖かさを自覚したときはトクトクと心音が早まった。


 触れていたのは数秒で、離れると視線が重なった。見上げる朝陽はとろけるような表情をしている。


 美月も立っているのが一苦労だった。


「……っ、もっと……」
「…………」


 この感触を忘れたくなかった。できることならもっと欲しかった。


「嫌、じゃなかったら、もう一度――……っ、」


 今度は少し強引なキスだった。


 朝陽の手が美月の腰に回る。ぐっと引き寄せられ、より強く唇が重なった。
 

 心臓の鼓動が増して、うるさい。朝陽に聞こえることが恥ずかしく、後ろに引こうとするが許さないとでもいいたげにより強く腰を引かれる。