「ありがとう、ここに連れてきてくれて」


 泣いた姿で終わりたくなかった。心配する朝陽を安心させるため、これでもかと満面の笑みを見せた。


 すると、朝陽は少し痛々しい顔をして美月のことを抱きしてた。


 冷えた体が体温で温まる。涙が出ないように必死に歯を食いしばった。


「なんでこんなに苦しそうなの」


 耳元で穏やかな朝陽の声が聞こえた。


「苦しくないよ」
「……さっき、消えてしまう気がした。そのまま光に溶けてしまいそうな、そんな感覚がしたんだ」


 朝陽の抱きしめる力が強くなった。離したくない。そう訴えているように感じた。


 朝陽の言うことは正しい。美月はいつか朝陽から離れなくてはならない。愛し合っていた二人のために。