少しも検討がつかなかった。当時、美空からそのような話をされた記憶はない。


「どこなの」
「それはついてからの楽しみ」


 口元に人差し指を押付けて朝陽はいった。その色っぽい仕草に戸惑ってしまう。


「電車が来ちゃうから行こう」
「うん」


 二人は恋人のように手を繋いで駅まで向かった。


 しばらく電車に揺られていると緑の多い大きな公園についた。


 平日の夕方で雨上がりということもあり人は少なく、朝陽のあとに続き進むごとに人はいなくなった。


 濡れた草でスカートの裾を濡らしながら進んでいると朝陽が当然止まった。


「どうしたの?」
「美空、目を瞑って」


 突然のことで固まっていると、朝陽の手に目が覆われた。
 

「このまま目を閉じて」


 言われるまま目を閉じると、優しく手が握られ、引っ張られる。