「今日の放課後、空いてるかな?」
「今日?」


今日は大きな用事もなく、空いていた。


「空いてるよ」
「それじゃあ良かったらデートしてくれませんか」


 一瞬、言葉の意味を理解できなかった。少しして嬉しさと戸惑いを感じる。


 朝陽は美空と行きたいのだろう。偽物ではない、本当の美空と。


 口ごもる美月を朝陽が顔を覗いた。綺麗は瞳は心配の色を示している。


「だめ、かな」
「駄目とかじゃないの。ただ私でいいのかなって」


 朝陽はそんなことかと言いたげに美月の手を包み込んだ。温かい手の感触が美月を落ち着かせていく。


「そんなこと気にしなくてもいいよ。俺は美空と行きたい」

 
 『美空』は誰を指しているのだろうか。幼いことにあった美空か、たった数日前にあった偽物の美空か。