「いつ、また会えるんだろう?」


 美月が小さな声でつぶやいた。しかし、電車の轟音が彼女の声をかき消してしまった。


 美月の後ろにいた朝陽は、そんな美月の様子を見て、ほんの少しだけ笑いをこぼした。そして、美月の肩を優しくつかんで、声をかけた。


「すぐに、また会えるから」


朝陽の声は、美月の耳元で聞こえた。美月は、その言葉に心が踊ったが、同時に朝陽に聞こえていたことに恥ずかしさを感じた。


「聞こえてたの?」と、美月が恥ずかしそうに聞くと、朝陽は優しく微笑んで答えた。


「耳がいいからね」


彼女が肩を抱かれている朝陽の手は、男らしくて大きく、少しゴツゴツしていた。彼女は、その手に触れてみた。


温かく柔らかい感触が彼女の指先に伝わってきた。彼女は、その手を見つめながら、朝陽との再会を心から願った。