夜、寝る前。朝、起きるとき、不思議と雨を願っている。
アラームと同時に起きる。うるさく鳴り響くアラームを止め、静まり返ったときに聞こえる雨音が美月の心を躍らせる。
あれから三日、雨は降らなかった。でも今日、やっと大粒の雨が降ってくれた。
素早く準備をしていつも通りの時間に出る。あんなに憂鬱になっていた雨が今では心躍るようになった。
電車に乗るといつもと変わらないあの場所に行く。そして高鳴る胸を抑えて朝陽を待った。
「おはよう」
「おはよう、朝陽くん」
朝陽は変わらない風貌で現れた。でも初めにあったときとは違いイヤホンをつけていなかった。
「雨だね」
「そうだね。今週で梅雨明けだってさ」
梅雨が明ければ夏が来る。雨が降る日は少なくなるだろう。