何かが美月の中で音を立てて崩れた。 「初恋……」 「そう、最初は憧れだった。可愛くて明るくて、何でもできるから。でもどんどん好きになっていったかな」 胸が痛いぐらいに鼓動を打っている。これが悔しさか、嬉しさか分からなかった。 東京ー、東京ー。 とうとう駅に着いた。人がどんどんいなくなる。 「じゃあまた雨の日に」 「雨の日に」 そう行って二人は別れた。