(そうだ、これが使える?)

 手の平には、先ほど見つけた銀鱗がある。
 家を襲撃した能力者たちが、鱗に込められた力でパワーアップしたと言っていたではないか。

(少し怖いけど……これで私も、真の力を呼び起こせるかも!?)

 真の力などというものがあるかどうかはわからないが、えいやっと銀鱗を口に放り込む。

「ん? んん?」

 すると視界がみるみる低くなって……。気づけば服の生垣ができている。

(この感覚。このちっちゃな手。お腹もモフモフで、この感じは……え、うそ。ハムスターになってる⁉)

「なっ! どこへ行った!?」
「日暮!?」

 服だけが地面に落ちている状況に、黒服も風間も戸惑っている。

 下っ端の警備員らは、銀鱗の不思議な力を聞かされていないのかもしれない。ただの宗教組織かヤのつく稼業だと思っているのだろう。

(変身できちゃった……)

 自分でもびっくりしたけれど、剣くんも白蛇の姿になっていたし、こういうこともできるのかと納得するしかないだろう。

「女の子を探せ!」

 黒服たちは動揺し、注意が乱れている。おまけに勝手口は開けっ放しだ。

(今だ!)

 素早く洋服の隙間から抜け出した公花は、門へとダッシュし、敷地内へと紛れ込んだ。