まかせろと言われて、頼もしい金髪スポーツ少年の動向を見守る。

(風間くん、ありがとう……)

 蛇ノ目家ほど大きな家であれば、四方に勝手口が存在する。
 その中のひとつの扉を、風間がドンドンと荒く叩いた。

「おい、蛇ノ目! 出てこいよ! まだ勝負はついちゃいねぇ、いつまで家に引き籠ってるつもりだ!?」

 警備の手薄な入り口を狙って、風間が騒ぎを起こし、警備員の目を引き付けようという作戦だ。

「なんだおまえは」

 早速、強そうな黒服の男がふたりも出てくる。

「俺は蛇ノ目のクラスメイトだよ。あいつに言いたいことがあるんだ!」

 屈強な大人の男たちを前にして、ビビっている様子など欠片も見せない風間。さすが不良(ではない)の鑑だ。

 すぐそばの茂みに隠れている公花は、風間が男から肩を突かれたりしているのを見て心を痛めつつも、隙をうかがう。

 風間は巧妙に挑発し、ヒットアンドアウェイを繰り返して、男たちの注意を引いた。途中、チラリと目で合図をされて──。

 隙を見て行けってことだろうけど、ちょっと無理そう……どうしよう。

「おい、そこにもうひとり、いるんだろう。出てこい」

 公花も見つかってしまった!
 どうしよう、どうしよう。このままではなんなく捕まってしまうだろう。