──こくこくと時は流れていったが、手がかりはなかなか集まらなかった。

 読むのに時間がかかりそうな本はレンタルすることにして、ひとまず帰宅することにする。

 だが、自転車で家に向かう途中、事件は起こった。

『カァー! カァー!!』

 突然、カラスの群れに襲われたのだ。

「きゃああっ! なに!?」

『カアッ! カアア!!』

 手を振り回して応戦するが、羽ばたく風と、鋭い嘴の猛攻は止まない。

 このままでは啄まれて怪我をしてしまいそうだ。防戦一方になっていると、

「日暮! 大丈夫か!? このっ!」

 聞き覚えのある声がして、誰かが駆け寄ってくる気配。

「風間くん!?」

 勢いよく鞄を振り回して、カラスを追い払ってくれる金髪の男の子。剣と同じクラスの男子生徒、風間隼人だ。

 たくましい男の子の加勢でカラスも怯んだのか、四散するように上空に舞い上がっていった。

 助かったと思った次の瞬間、公花は悲鳴を上げる。

 滑空してきた一羽が、自転車の籠に乗せていたトートバッグを嘴に咥え、奪っていったのだ。中には、蛇の姿をした剣が入っているのに……!