『妖とは、大蛇、猫又、河童、妖狐、天狗――古来から語り継がれる不可思議なる存在。妖怪とも呼ばれるそれは、ときに人知を超えた存在として神格化されることもある。

 大蛇などは、生贄を要求する「やまたのおろち」をはじめとして恐ろしい悪神として書かれていることが多いが、反面、永寿と幸運をもたらす蛇神として知られている。脱皮を繰り返し、死と再生を繰り返すことから、不死の象徴ともされ、人々の畏敬の対象となった。その名も――

宇迦之御魂剣神(うかのみたまつるぎのかみ)

 「宇賀神(うがじん)」または「宇那神(うなじん)」とも呼ばれ、伝承や言い伝えの残る土地を中心に、広く信仰されている』

 なんだか舌を噛みそうだと公花は思ったが、蛇神の詳細な記載を見て、きっと彼はこれに類するものなのだろうと理解する。

(うなじん、だって……どうりで、おばあちゃんによくウナギと間違われていたもんね!)※無関係です。

 イラストも添えられていて、頭は人で、体は蛇。とぐろを巻く姿は不気味な異形以外のなにものでもなかったが、雨を司る龍神、穀物や財を司る福の神として、ありがたく祀っている神社もあるのだと。